奥出雲

●あなたに会いたくて 第九章

奥出雲

うまし水、うまし米、うまし人の住む
日本の原風景が今に息づく奥出雲の郷。
中国山地の山なす山に囲まれた
谷合いに美しい棚田の広がる奥出雲。
数々の神話のロマンと
たたら製鉄の歴史を秘めた奥出雲。
太古から神のおわす国といわれたこの地は
これからの季節、繚乱の花に染まり、
一面の新緑に燃える。

文/塩見佐恵子
撮影/今若麻希子(SLOW+SLOW)
デザイン/河村織恵

霧夢中に潜む古代神話のロマン

 キラリ取材班の集合場所はおろちループ橋の道の駅。初めての道である。地図を広げて驚いた。広島県三原を出発、183号線の備後落合からわずか十余キロ、一山越えるとそこはもう出雲なのだ。
 奥出雲に通じる314号線はJR木次線とほとんどパラレルに走る。木次線のスイッチバックといえば、鉄道ファンならずとも知れわたっている。
 朝早いループ橋展望台の辺りには霧が深く、神話の舞台にふさわしい。松江、米子方面からそれぞれのコースで奥出雲入りしたスタッフはすでに到着、早速出発した。
 分水嶺のトンネルをぬけでると、眼下は一面の雲海であった。その下にひらける奥出雲地方の姿を想像して胸が躍った。
 それ自体が大蛇の化身と言われる斐伊川。その流域一帯、奥出雲は数々の神話の舞台として知られる。鳥髪〈奥出雲町横田〉を通りかかったスサノオノミコトに、大蛇に食われる運命から救われたイナタヒメ、そのロマンの舞台はここ奥出雲。この子孫たちは今どのような暮らしぶりだろう、奥出雲に向かう長い下り坂を霧をかき分けるようにして車を進めた。

 

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